【ニュース解説】ライフサイクルカーボン評価制度とは?建材選定に迫る「作る責任」の時代

ライフサイクルカーボン評価制度のイメージ画像

建築物ライフサイクルカーボン評価制度 ― 「作る責任」が問われる住環境ビジネスへ

元の記事

建築物のライフサイクルカーボン評価の最前線を議論します!

~制度を担うステークホルダーが集うシンポジウムを開催~

国交省と経産省は2026年7月13日、建築物のライフサイクルカーボン評価制度をテーマにしたシンポジウムを経団連ホールで開催。不動産・金融・建材メーカー等が参加し、制度化に向けた課題と展望を議論する。(定員に達し申込は終了)

概要

内容

事実

国交省・経産省が建築物のライフサイクルカーボン評価制度をテーマとするシンポジウムを2026年7月13日に開催し、定員280名に達し申込を締め切った。

本質

資材製造から解体までのCO2排出量を評価する国の制度検討が、不動産・金融・建材メーカーを巻き込む段階に移行しつつある。

影響

サプライチェーン全体で建材選定や資金調達の判断にライフサイクルカーボンの数値が組み込まれ始める可能性がある。

変化

今後、評価・算定制度の具体化が進み、建築物の環境価値が金融・不動産評価と連動する仕組みへと発展していく見込み。

当NPOの理事がこのニュースを分かりやすく解説

ライフサイクルカーボン評価制度の始動 ― 「作る責任」が問われる住環境ビジネスへ

■ 本件により業界は何が変わるのか

国土交通省・経済産業省が主催するシンポジウムは、建築物の環境評価を「使用時のCO2」から「資材製造・輸送・施工・解体・リサイクルまでの全過程」へと広げる制度検討の節目です。これまで省エネ住宅の評価軸は断熱性能や運用時の消費エネルギーが中心でしたが、今後は建材そのものの製造工程が排出するCO2も評価対象になります。住環境工事に関わる立場からすると、壁紙・接着剤・パテ・塗料といった内装材の選定理由に、環境負荷の低さが加わる実務変化として現れてきます。

■ この動きの本質はどこにあるのか

本質は、建築物のバリューチェーン全体に「作る側の説明責任」が拡張される点にあります。従来は住み手が使用段階で負う責任が中心でしたが、これからは製造・供給側も含めた構造的な責任分担へと転換していきます。ただし、CO2排出量を「誰がどう測定し、どう表示するか」という制度設計は依然として未確定であり、船舶業界のような品番単位の認証よりも、工場単位・領域単位でのラベリングに落ち着く可能性が高いと見ています。この測定基盤の整備こそが、制度の実効性を左右する分岐点になるでしょう。

■ 建築業界は今後どこに向かうのか

中長期的には、耐久性が高く長く使い続けられる建材・住宅への経済合理性が働き、リサイクル材やバイオマス原料を用いた製品開発への投資が進むと予想されます。同時に、解体・建て替えではなく、既存住宅を直して使い続ける、あるいは空き家を再生する発想が、単なる社会貢献ではなく実質的なカーボン削減策として位置づけられていくはずです。住環境工事に携わる事業者にとっても、施工品質に加えて「どのような環境的意図を持って選ばれた資材か」という説明力が競争力の一部になる時代が近づいています。制度の具体化はこれからですが、備えを始めるべき局面には既に入っていると考えます。

山口 剛 株式会社遠藤紙店

Author:山口剛

プロフィール

## 活動概要

山梨県出身。家業である壁紙卸売業を継承しながら、壁紙専門店「WALLPAPER STORE」のウェブ編集者として従事。幼少期より壁紙という素材に親しみ、成人後にその真の魅力を認識。「空間を一変させる壁紙の力」に感銘を受け、家業の発展とともにインテリア業界における新たな事業展開を開始した。

「WALLPAPER STORE」においては、壁紙の魅力をより広範囲の顧客層に訴求するため、ウェブサイトおよびSNSを通じた情報発信を担当。DIY愛好家のチームメンバー、ならびに施主の要望と生活様式に寄り添いながらインテリア空間を共創する「ウォールスタイリスト」と連携し、初心者にも取り組みやすいアイデアをブログおよび各種コンテンツを通じて提供している。

## 経歴

1983年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)卒業後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒入社。事業企画部門において、中期経営計画の策定、予算管理、プロジェクトマネジメント等に従事。関連会社の統合、事業譲渡、合弁会社設立等、多岐にわたる企業戦略業務に携わり、豊富な実務経験を蓄積した。

## 個人について

家族との時間を大切にし、週末は息子のサッカー活動に積極的に参加している。また、浦和レッズの熱心なサポーターとして、週末のテレビ観戦を楽しみとしている。




【ニュース解説】 住宅確保要配慮者支援モデル事業、令和8年度募集開始

住宅のセーフティネットについて解説

住宅確保要配慮者の居住安定へ モデル事業募集開始

国交省が令和8年度「みんなが安心して住まいを提供できる環境整備モデル事業」の募集を開始した。住宅確保要配慮者の居住支援に取り組む居住支援法人等を対象に、多主体連携型とサブリース型の2区分で支援する。 

 

元の記事

住宅確保要配慮者の居住の安定を図るモデル的な取組を支援します!

~令和8年度「みんなが安心して住まいを提供できる環境整備モデル事業」の募集を開始~

 

事実:国土交通省が令和8年6月15日、住宅確保要配慮者の居住安定を図るモデル事業《多主体連携型》《サブリース型》の募集を開始し、応募期間は6月15日~7月13日17時とした。

構造:安否確認・見守り・福祉サービスへのつなぎ機能を備えた住宅提供を通じ、所有者側の不安を軽減する仕組みを制度的に用意することで、要配慮者の入居受け入れを促進する構造になっている。

影響:居住支援法人等にとっては補助を受けたモデル的取組の実施機会となる一方、《サブリース型》は居住サポート住宅認定が前提かつ予算上限に達し次第受付終了となるため、対応のスピードが問われる。

変化:今後、居住サポート住宅の認定拡大とサブリース型スキームの活用が進めば、低額所得者・高齢者・障害者・子育て世帯等の民間賃貸住宅への入居機会が段階的に広がっていくと見込まれる。

当NPOの理事がこのニュースを分かりやすく解説

住宅弱者への居住支援制度が建築業界にもたらす構造変化

本件により業界は何が変わるのか

国土交通省が推進する住宅確保要配慮者向けの居住支援モデル事業は、建築業界の事業機会を根本的に再定義するものです。1高齢者、障害者、低所得者、被災者、子育て世代といった従来は市場化しにくかった層への供給が、政策的なインセンティブによって事業化される局面です。

従来、施工業界は新築・リノベーション受注を利潤源としてきましたが、本施策により「既存空き家の利活用と居住支援を一体で進める」という新たな事業モデルが成立します。1単なる物件修繕ではなく、バリアフリー対応や安全性確保といった「居住適格化工事」が体系的に発注される構造です。実務的には、行政・福祉機関・不動産事業者・施工業者が連携する多層的なサプライチェーンが形成され、中堅・小規模事業者にも参画の道が開かれます。

この動きの本質はどこにあるのか

本質は、市場の失敗に対する政策的介入です。1空き家は増加している一方で、保証人問題、家主の入居者選別、物件側の修繕不足といった多角的な障壁により、供給と需要がミスマッチしている状況です。建築業界の視点では、これは「既存ストックの利用効率化を通じた稼働率向上」の事業機会であると同時に、「福祉・行政機能との統合」を余儀なくされる転換点を意味します。

2NPO視点での指摘の通り、民間企業が純粋な利益追求のみでは対応できない領域です。むしろ行政・民間・NPOが機能分担する「三角関係」の中で、施工業者は「社会実装の担い手」としてのポジショニングを求められる構造になっています。

建築業界は今後どこに向かうのか

今後、建築業界は二つの方向性を並行させることになるでしょう。

第一に、既存住宅市場におけるサービス統合化です。1「空き家活用と居住支援を一体に進める」という方針により、物件診断から修繕、行政への報告、入居者支援までを包括する事業フロー化が進みます。これは従来の発注元と施工者の単純な取引関係を超え、地域インフラ事業としての性格を帯びるようになります。

第二に、2施工業者と福祉・雇用支援の連携が制度化される点です。B型支援事業との組み合わせに象徴されるように、建物保全そのものが雇用創出・社会参画の場となる可能性が高まります。

ただし、民業圧迫のリスクは無視できません。供給量が適正化されることで、確保賃貸化や建築修繕費の標準化が進む場合、既存事業者の価格設定余地が縮小する懸念があります。業界として持続性を持つには、量的拡大だけでなく、「地域インフラとしての機能」を説得的に提示できるかが問われています。

山口 剛 株式会社遠藤紙店

Author:山口剛

プロフィール

## 活動概要

山梨県出身。家業である壁紙卸売業を継承しながら、壁紙専門店「WALLPAPER STORE」のウェブ編集者として従事。幼少期より壁紙という素材に親しみ、成人後にその真の魅力を認識。「空間を一変させる壁紙の力」に感銘を受け、家業の発展とともにインテリア業界における新たな事業展開を開始した。

「WALLPAPER STORE」においては、壁紙の魅力をより広範囲の顧客層に訴求するため、ウェブサイトおよびSNSを通じた情報発信を担当。DIY愛好家のチームメンバー、ならびに施主の要望と生活様式に寄り添いながらインテリア空間を共創する「ウォールスタイリスト」と連携し、初心者にも取り組みやすいアイデアをブログおよび各種コンテンツを通じて提供している。

## 経歴

1983年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)卒業後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒入社。事業企画部門において、中期経営計画の策定、予算管理、プロジェクトマネジメント等に従事。関連会社の統合、事業譲渡、合弁会社設立等、多岐にわたる企業戦略業務に携わり、豊富な実務経験を蓄積した。

## 個人について

家族との時間を大切にし、週末は息子のサッカー活動に積極的に参加している。また、浦和レッズの熱心なサポーターとして、週末のテレビ観戦を楽しみとしている。




【ニュース解説】 窓装飾プランナー資格試験CBT方式全国展開|建築業界の人材育成と品質向上への新戦略を解説

窓装飾プランナー資格試験の全国展開を理事が解説

窓装飾プランナー資格試験の全国展開が示す、建築業界の人材育成と品質向上への新たな道筋

日本インテリア協会が実施する窓装飾プランナー資格試験が、2026年9月2日~16日に全国約330会場でCBT方式により開催されます。従来の限定された試験会場から大幅に拡大され、地方の受験者の負担軽減と業界人材育成を促進します。

元の記事

窓装飾プランナー試験 CBT方式で全国330会場に拡大

概要

事実:窓装飾プランナー資格試験がCBT方式で全国330会場に拡大

本質:地域格差の解消と専門人材の体系的育成

影響:内装関連企業の社員が資格取得しやすくなり現場の提案力向上

変化:業界全体の施工品質向上と顧客への信頼醸成が期待される。

当NPOの理事がこのニュースを分かりやすく解説

本件により業界は何が変わるのか

受験障壁の撤廃が人材育成の実効性を高める

窓装飾プランナー資格試験の全国330会場でのCBT方式実施は、単なる利便性向上ではなく、地方事業者の人材投資コストを大幅に削減する施策です。従来、試験会場が限定されていたことで発生していた移動・宿泊コストは、中小事業者にとって資格取得を推奨する上での実質的な障壁でした。この解消により、インテリア専門店や内装工事業者が、社員の専門性担保を組織的に進められる環境が整います。

体系的学習と実務の接続が営業力を変える

注目すべきは、養成講座との連動により合格率が3〜4割から5〜6割へ向上する見込みである点です。採寸・要尺計算・遮光性能・他のインテリアエレメントとの調和といった体系的知識の習得は、現場での提案品質を直接的に向上させます。これは単なる知識付与ではなく、営業担当が施工の現場状況を理解することで「収まらない提案」を排除し、顧客信頼を獲得する実務価値を持ちます。

この動きの本質はどこにあるのか

専門人材不足という構造問題への対処

建築業界における人材不足は、職人不足だけでなく、採寸・提案・見積・現場管理を担う専門人材の継続的不足が本質です。この資格制度は、若手社員や異業種転職者が業界に定着するための「知識のフレームワーク」を提供する仕組みと言えます。特に中小企業では研修時間の確保が困難であり、それが若手のキャリア不安や離職につながる構造的課題がありました。

知識と施工の分離を防ぐ業界モデルの構築

重要なのは、「分かっているができない」状態を防ぐという視点です。提案者と施工者が互いの専門性を理解し、知識と技術を接続することで、業界全体の品質が向上します。これは、専門特化だけでなく周辺領域(設備・壁紙施工・監督など)への理解を持つエキスパート人材を育成する方向性を示しています。

建築業界は今後どこに向かうのか

資格の可視化が顧客との信頼構築手段となる

一般ユーザーにとって、窓装飾や内装工事の専門性は判断が困難です。資格保有者の在籍を示すだけでなく、「どのような相談ができるか」「何を確認してどう提案するか」「施工までどう連携するか」を発信することで、資格が安心材料として機能する時代になります。

早期育成による組織競争力の差別化

若手社員は「やりながら覚える」より、早期の体系的学習を求める傾向が強まっています。入社半年から1年程度の社員に対して資格取得を支援する企業は、実務における抜け漏れのない知識習得を実現し、組織としての提案品質を早期に高めることができます。資格制度を人材育成の入り口として戦略的に活用できる事業者が、今後の市場競争において優位性を確保していくと考えられます。

山口 剛 株式会社遠藤紙店

Author:山口剛

プロフィール

## 活動概要

山梨県出身。家業である壁紙卸売業を継承しながら、壁紙専門店「WALLPAPER STORE」のウェブ編集者として従事。幼少期より壁紙という素材に親しみ、成人後にその真の魅力を認識。「空間を一変させる壁紙の力」に感銘を受け、家業の発展とともにインテリア業界における新たな事業展開を開始した。

「WALLPAPER STORE」においては、壁紙の魅力をより広範囲の顧客層に訴求するため、ウェブサイトおよびSNSを通じた情報発信を担当。DIY愛好家のチームメンバー、ならびに施主の要望と生活様式に寄り添いながらインテリア空間を共創する「ウォールスタイリスト」と連携し、初心者にも取り組みやすいアイデアをブログおよび各種コンテンツを通じて提供している。

## 経歴

1983年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)卒業後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒入社。事業企画部門において、中期経営計画の策定、予算管理、プロジェクトマネジメント等に従事。関連会社の統合、事業譲渡、合弁会社設立等、多岐にわたる企業戦略業務に携わり、豊富な実務経験を蓄積した。

## 個人について

家族との時間を大切にし、週末は息子のサッカー活動に積極的に参加している。また、浦和レッズの熱心なサポーターとして、週末のテレビ観戦を楽しみとしている。




【ニュース解説】 寝屋川市空き家流通促進税が迫る建築業界の構造転換

寝屋川市の空き家対策

寝屋川市空き家流通促進税が示す建築業界の転換点

記事紹介

寝屋川市が全国初となる空き家流通促進税の条例案を議会に提出しました。市内の居住実態のない空き家所有者に新たな税負担を求める制度で、固定資産税の35%を課税対象としています。空き家の流通促進と所有者の行動変容を目指しています。 

元記事

令和8年3月市議会定例会における寝屋川市長の市政運営方針

概要

事実:寝屋川市が空き家流通促進税を提出し、居住実態のない住宅所有者に固定資産税の35%を課税する制度を導入予定

構造:新規開発用地が限定され、市場に出ていない空き家が約6,400戸ある中で、放置を防ぎ流通を促進する仕組み

影響:所有者は売却・賃貸・除却などの行動を迫られ、建築業界には建物調査から内装改修、商品化まで総合的な支援が求められる

変化:同様の課税制度が全国に波及する可能性が高く、地方自治体と民間・NPOが連携した空き家対策の総合的な支援体制構築が急務となる 

当NPOの理事がこのニュースを分かりやすく解説

寝屋川市空き家流通促進税が示す建築業界の転換点

本件により業界は何が変わるのか

受け皿としての事業性が顕在化する

寝屋川市の空き家流通促進税導入は、建築業界にとって重要な転機をもたらします。これまで空き家対策は行政の「問題処理」として扱われてきましたが、本制度により所有者が能動的に行動を起こすインセンティブが生まれるため、業界には確実なニーズが発生するようになります。1

具体的には、所有者が売却・賃貸・除却のいずれかを選択する際、建物調査、雨漏り修繕、家財整理、内装改修といった一連のサービスが市場化されることになります。2現在、多くの業者が個別対応していた工事が、明確な「課題解決プロセス」として体系化される可能性があります。これは効率化と標準化を促す力学となるでしょう。

この動きの本質はどこにあるのか

行政が市場メカニズムに舵を切った意味

従来、空き家問題は「景観悪化」「防犯リスク」といった外部性の問題として扱われ、行政が強制執行で対応するケースが増えていました。しかし本制度は異なる視点を採用しています。所有者に対して「放置するコスト」を明示することで、主体的な判断と行動を促す設計になっているのです。3

この転換は、建築業界の事業構造に直結しています。寝屋川市の状況として、約1万5,450戸の空き家のうち、約6,400戸が市場に出ていないのが実態です。4これらが市場に放出される際、単なる「工事受注」ではなく、「不動産の再生・商品化」というより高度なサービスが必要になります。業界は診断から企画提案、実行まで、より包括的な役割を担うことになるのです。

建築業界は今後どこに向かうのか

統合型サービス提供者への進化が不可避

本制度の全国波及が想定される中、建築業界は単なる施工業者から「空き家問題の総合的なソリューション提供者」へのシフトを迫られます。5

重要なのは、税制度により「動く所有者」と「動かない所有者」が二極化することです。相続問題や登記整理の課題を抱える物件では、税金だけでは解決しません。こうした複雑な案件こそが、業界の真の競争力を問う場になります。

同時に、地域コミュニティの活動拠点化、地域創業支援といった新たな用途転換への対応も求められるようになるでしょう。建築技術と事業企画力を統合した、より戦略的なプレイヤーが市場での主導権を握る時代が到来することになります。

山口 剛 株式会社遠藤紙店

Author:山口剛

プロフィール

## 活動概要

山梨県出身。家業である壁紙卸売業を継承しながら、壁紙専門店「WALLPAPER STORE」のウェブ編集者として従事。幼少期より壁紙という素材に親しみ、成人後にその真の魅力を認識。「空間を一変させる壁紙の力」に感銘を受け、家業の発展とともにインテリア業界における新たな事業展開を開始した。

「WALLPAPER STORE」においては、壁紙の魅力をより広範囲の顧客層に訴求するため、ウェブサイトおよびSNSを通じた情報発信を担当。DIY愛好家のチームメンバー、ならびに施主の要望と生活様式に寄り添いながらインテリア空間を共創する「ウォールスタイリスト」と連携し、初心者にも取り組みやすいアイデアをブログおよび各種コンテンツを通じて提供している。

## 経歴

1983年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)卒業後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒入社。事業企画部門において、中期経営計画の策定、予算管理、プロジェクトマネジメント等に従事。関連会社の統合、事業譲渡、合弁会社設立等、多岐にわたる企業戦略業務に携わり、豊富な実務経験を蓄積した。

## 個人について

家族との時間を大切にし、週末は息子のサッカー活動に積極的に参加している。また、浦和レッズの熱心なサポーターとして、週末のテレビ観戦を楽しみとしている。




【ニュース解説】空き家問題、税や罰則の改正で市場はどう動く

改正空き家法の本番期のイメージ画像

改正空き家法の本番期——税・罰則の強化が建築市場と所有者行動を変える

記事紹介

改正空き家法に基づく行政指導・勧告が全国で進み、管理不全空き家への早期対応と民間活用の枠組みが本格稼働しつつある。

元の記事

令和5年改正空家法に基づく取組が広がる

 

概要

事実

改正空き家法により2025年3月末時点で指導3,211件・勧告378件が実施、95法人が支援法人として指定された

構造

「危険化後に除却」から「管理不全段階での早期是正」へと空き家対策のステージが前倒しにシフトした

影響

勧告を受けると固定資産税の住宅特例が外れるリスクが生じ、所有者・工事会社・NPO等が早期関与を求められる

変化

行政だけでは対応限界があるため、民間プレイヤーを組み込んだ予防・活用・管理の複合的枠組みが制度化されていく

当NPOの理事がこのニュースを分かりやすく解説

改正空き家法の施行から約1年半。行政指導3,211件、勧告378件、支援法人95法人の指定——数字が示すとおり、空き家対策はいよいよ「制度の本番期」に入った。本稿では、建築・工事業界の実務的立場から、この政策転換が現場にもたらす構造変化を読み解く。

1. 「事後対応」から「予防介入」へ——対策ステージの前倒しが意味すること

除却から管理不全是正へのパラダイムシフト

従来の空き家対策は、建物が危険な状態になってから行政が動くという「事後対応型」が基本だった。改正空き家法はこの構造を根本から変えた。管理不全の段階で市町村が指導・勧告を行えるようになったことで、行政の介入タイミングが大幅に前倒しされている。

建築の現場から見れば、これは非常に合理的な変化だ。建物は放置されるほど劣化が加速し、修繕・活用にかかるコストが指数関数的に増大する。早期に手を入れることで、除却ではなく「使える状態への再生」という選択肢が現実的になる。

勧告が持つ経済的インパクト

見落とせないのが、勧告を受けた場合に固定資産税の住宅用地特例が外れる可能性がある点だ。これは所有者にとって実質的な税負担増を意味し、「放置コスト」を可視化する仕組みとして機能する。相続等で空き家を取得しながら判断を先送りにしていた所有者に対して、制度が明確な経済的プレッシャーをかける構造になった。

2. 民間プレイヤーの組み込みと、工事業界に求められる役割の変容

行政単独では解決できない—— 官民連携 の必然性

64市町村・95法人という支援法人の指定数が示すとおり、国土交通省は行政だけでは空き家問題に対応しきれないという現実を直視している。相談窓口の運営、活用希望者とのマッチング、地域ごとの実態把握——これらを担う民間・NPO・地域団体の存在なくして、制度は機能しない。

われわれNPOのような団体が担うべき役割は、所有者と地域社会、そして工事・不動産の各プレイヤーをつなぐコーディネート機能にある。

「仕様通りの施工」から「価値創出の施工」へ

工事業界にとってより本質的な変化は、求められる姿勢そのものの転換だ。これまでは設計者や発注者から仕様が下りてきて、職人・工事会社はそれを忠実に実行することが主な役割だった。

しかし空き家の再生においては事情が異なる。「この建物を直す価値があるか」「どこまで手を入れれば市場で選ばれる住まいになるか」「費用対効果の最適解はどこか」——こうした問いに工事側が主体的に答えられなければ、プロジェクト自体が前に進まない。内装・設備・外装・断熱・耐震・残置物処理、そしてデザインまでを俯瞰した提案力が、これからの工事会社の競争軸になる。

3. 建築・工事業界が今すぐ準備すべきこと

「負動産」を「再生資産」に変える技術と目線

相続等で取得された不動産が「負動産」として放置される背景には、経済合理性の問題だけでなく、地域の世間体や感情的な障壁も存在する。建築・工事のプロとしては、こうした文脈を理解したうえで所有者に関与する姿勢が求められる。

技術的には、最小限の投資で最大限の居住性・資産性を回復するという視点が重要になる。過剰スペックの改修は所有者の判断を遅らせる。スコープを絞り、段階的な再生ロードマップを提示できる実務力が差別化につながる。

早期関与の習慣化と地域ネットワークの構築

改正法が求めているのは、結局のところ「早めのジャッジ」を社会全体で実現する仕組みだ。工事会社・設計者・NPO・行政・不動産会社が、危険化する前の段階から情報を共有し、連携して動ける体制を地域ごとに構築することが急務となっている。

「壊れ窓の法則」が示すように、管理されない建物が一軒あるだけで地域全体の環境・資産価値・安全性が損なわれていく。建築の専門家として、その連鎖を最上流で断ち切ることに、われわれが貢献できる意義がある。

山口 剛 株式会社遠藤紙店

Author:山口剛

プロフィール

## 活動概要

山梨県出身。家業である壁紙卸売業を継承しながら、壁紙専門店「WALLPAPER STORE」のウェブ編集者として従事。幼少期より壁紙という素材に親しみ、成人後にその真の魅力を認識。「空間を一変させる壁紙の力」に感銘を受け、家業の発展とともにインテリア業界における新たな事業展開を開始した。

「WALLPAPER STORE」においては、壁紙の魅力をより広範囲の顧客層に訴求するため、ウェブサイトおよびSNSを通じた情報発信を担当。DIY愛好家のチームメンバー、ならびに施主の要望と生活様式に寄り添いながらインテリア空間を共創する「ウォールスタイリスト」と連携し、初心者にも取り組みやすいアイデアをブログおよび各種コンテンツを通じて提供している。

## 経歴

1983年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)卒業後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒入社。事業企画部門において、中期経営計画の策定、予算管理、プロジェクトマネジメント等に従事。関連会社の統合、事業譲渡、合弁会社設立等、多岐にわたる企業戦略業務に携わり、豊富な実務経験を蓄積した。

## 個人について

家族との時間を大切にし、週末は息子のサッカー活動に積極的に参加している。また、浦和レッズの熱心なサポーターとして、週末のテレビ観戦を楽しみとしている。




【ニュース解説】 サンゲツFINE 2026-2029発刊——壁紙市場の訴求軸転換が示す業界の構造変化

サンゲツが見本帳Fineを刷新

サンゲツFINE新刊が問いかける——壁紙提案の競争軸はいま、価格から空間価値へ

記事紹介

サンゲツがデザイン特化型壁紙見本帳「FINE 2026-2029」を6月25日に発刊。収録771点・新商品318点を擁し、  不燃認定 比率を31%から47%へ拡大。非住宅需要への対応と空間価値訴求を強化した

元の記事

デザイン特化型の壁紙見本帳「2026-2029 FINE」を6/25に発刊

事実

サンゲツがFINE 2026-2029を6月25日発刊。771点収録・新商品318点、不燃認定比率を31%→47%に拡大

構造

「安さ」から「空間価値」へ訴求軸をシフト。ブランドコラボと不燃対応強化で住宅・非住宅双方の提案幅を拡大

影響

店舗・ホテル・福祉施設向けにデザイン性の高い不燃壁紙の提案機会が増加。設計・コーディネーター側の選択肢が広がる

変化

原材料・施工費高騰の中、価格競争から脱却し「素材の価値説明」が業界の競争軸として問われる局面へ移行

当NPOの理事がこのニュースを分かりやすく解説

サンゲツFINE 2026-2029発刊——壁紙市場の訴求軸転換が示す業界の構造変化

■ この動きの本質はどこにあるのか

「安さで選ばれる材料」からの脱却を迫られている

壁紙市場は長らく、原材料コストと施工効率の観点から「量産品をいかに安く納めるか」という競争軸で動いてきた。しかし昨今の原材料高騰・施工費上昇により、その構造が持続しにくくなっている。FINEのようなデザイン特化型見本帳の継続的な刷新は、サンゲツが壁紙を含む内装市場をアップデートする試みである。

空間価値の説明責任が施工側にも及ぶ

注目すべきは、この転換が製造・販売側だけの課題ではない点だ。施工会社やインテリアコーディネーターが「なぜこの壁紙を選ぶのか」を施主に説明できるかどうかが、受注の質と単価に直結するようになっている。材料選定の背景にある世界観や体験価値を言語化できる提案力が、業者の差別化要因として浮上している。

■ 建築業界は今後どこに向かうのか

非住宅×デザイン性の領域が次の主戦場になる

住宅における壁紙需要が成熟する一方、店舗・施設・オフィスといった非住宅領域では、空間ブランディングへの投資意欲が高まっている。不燃対応品のラインナップ拡充は、この需要に正面から応えるものであり、今後の内装提案の重心が非住宅側へシフトしていく可能性を示唆している。

材料の「価値説明」ができる業者が生き残る

価格競争が機能しにくくなる市場では、提案の質が競争力の源泉になる。壁紙一枚を通じて空間の印象・体験・ブランドをどう設計するかを語れる施工者・設計者が、単価と信頼の両面で優位に立つ時代が近づいている。FINEの刷新は、その問いを業界全体に投げかけている。

山口 剛 株式会社遠藤紙店

Author:山口剛

プロフィール

## 活動概要

山梨県出身。家業である壁紙卸売業を継承しながら、壁紙専門店「WALLPAPER STORE」のウェブ編集者として従事。幼少期より壁紙という素材に親しみ、成人後にその真の魅力を認識。「空間を一変させる壁紙の力」に感銘を受け、家業の発展とともにインテリア業界における新たな事業展開を開始した。

「WALLPAPER STORE」においては、壁紙の魅力をより広範囲の顧客層に訴求するため、ウェブサイトおよびSNSを通じた情報発信を担当。DIY愛好家のチームメンバー、ならびに施主の要望と生活様式に寄り添いながらインテリア空間を共創する「ウォールスタイリスト」と連携し、初心者にも取り組みやすいアイデアをブログおよび各種コンテンツを通じて提供している。

## 経歴

1983年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)卒業後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒入社。事業企画部門において、中期経営計画の策定、予算管理、プロジェクトマネジメント等に従事。関連会社の統合、事業譲渡、合弁会社設立等、多岐にわたる企業戦略業務に携わり、豊富な実務経験を蓄積した。

## 個人について

家族との時間を大切にし、週末は息子のサッカー活動に積極的に参加している。また、浦和レッズの熱心なサポーターとして、週末のテレビ観戦を楽しみとしている。




【ニュース解説】サンゲツ、リリカラなど大手決算から 住宅業界の今後を読み解く

決算情報から市況を予測

主要4社の決算が示す、内装業界のコスト構造の限界と次の一手

記事紹介

サンゲツ・トーソー・ロンシール工業・リリカラの2026年3月期決算が出そろった。各社とも売上は増加したが、リリカラは経常・純利益が減少。原材料費や為替リスクを背景に、今後の利益確保には不透明感が漂う。 

 

元の記事

トーソー 「2026年3月期連結決算」

ロンシール工業 「2026年3月期連結決算」

リリカラ 「2026年12月期決算」

サンゲツ 「2026年3月期連結決算」

 

概要(4つの視点)

  • 何が起きたか(事実) 内装インテリア主要4社の決算が発表され、各社とも売上高は増加したが、リリカラは経常・純利益が減少した。
  • 本質(構造) 販売価格改定や需要維持により売上は伸びているものの、原材料費・物流コスト・為替変動の影響が利益を圧迫する構造が顕在化しつつある。
  • 現場への影響(影響) 材料価格の変動により長期見積もりの維持が困難になっており、工事店には見積有効期限の設定や材工分離請求など、コスト管理の精緻化が求められている。
  • 今後どうなるか(変化) 7月の価格改定や為替・物流コストの上昇が時間差で波及する見込みで、適正価格の設定と透明性ある請求対応が業界全体の持続可能性を左右する局面に入る。

当NPOの理事がこのニュースを分かりやすく解説

住宅業界の決算から市況を予測する

■ 本件により業界は何が変わるのか

「増収」が当たり前でなくなる時代へ

サンゲツ・トーソー・ロンシール工業・リリカラの2026年3月期決算が出そろった。売上高はいずれも前年比増と、表面上は堅調に見える。しかし注目すべきは、リリカラの経常利益が前年比32.8%減という数字だ。売上が伸びても利益が残らない構造が、一部で現実のものになりつつある。

各社が今期の見通しとして「増収を見込む一方、利益はやや慎重」と揃って示したことは、業界全体への警告として読み取るべきだろう。増収イコール健全経営という方程式は、すでに成立しにくくなっている。

■ この動きの本質はどこにあるのか

コスト構造の「見えない歪み」が表面化している

内装インテリア業界のサプライチェーンは、メーカーが製造し、流通が卸し、工事店が施工するという多層構造だ。各社の決算が示しているのは、このチェーンの中で原材料費・物流コスト・為替変動というリスクが、どこかに押し付けられながら吸収されてきた実態である。

特に建材は、製造から実際の施工まで1年以上かかるケースも珍しくない。発注時と施工時で為替や原材料費が大きく変動すれば、企業努力だけでは吸収しきれない損失が生まれる。今回のリリカラの利益減少は、その構造的な限界が数字に出た一例と見ることができる。

また、工事店レベルでは「材工一式いくら」という見積慣行が根強く残っており、材料費と施工費が分離されないまま価格変動リスクが曖昧に処理されてきた。この慣行が、業界全体のコスト可視化を阻んできた一因でもある。

■ 建築業界は今後どこに向かうのか

適正価格と説明責任が、事業継続の条件になる

7月には複数メーカーで価格改定が予定されており、為替・輸送コスト・保険料の動向次第では、さらなる波が来る可能性がある。現時点の各社業績は堅調だが、これは「過去の受注」を反映したものに過ぎず、足元の仕込みコストが利益に反映されるのはこれからだ。

工事店が今すぐ取り組むべきことは明確で、見積の有効期限を設定すること、そして材料費・施工費・運送費・管理費を分離して提示することだ。これは単なる価格転嫁の話ではなく、何にいくらかかるのかを社会に説明できる体制を整えることでもある。

業界の持続可能性は、誰かが無理にコストを飲み込み続ける構造から脱却できるかどうかにかかっている。適正価格の実現は、現場の職人を守ることであり、業界全体の信頼性を高めることでもある。その第一歩として、今回の各社決算を「他社の話」として流すのではなく、自社のコスト管理と請求設計を見直す契機にしてほしい。

山口 剛 株式会社遠藤紙店

Author:山口剛

プロフィール

## 活動概要

山梨県出身。家業である壁紙卸売業を継承しながら、壁紙専門店「WALLPAPER STORE」のウェブ編集者として従事。幼少期より壁紙という素材に親しみ、成人後にその真の魅力を認識。「空間を一変させる壁紙の力」に感銘を受け、家業の発展とともにインテリア業界における新たな事業展開を開始した。

「WALLPAPER STORE」においては、壁紙の魅力をより広範囲の顧客層に訴求するため、ウェブサイトおよびSNSを通じた情報発信を担当。DIY愛好家のチームメンバー、ならびに施主の要望と生活様式に寄り添いながらインテリア空間を共創する「ウォールスタイリスト」と連携し、初心者にも取り組みやすいアイデアをブログおよび各種コンテンツを通じて提供している。

## 経歴

1983年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)卒業後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒入社。事業企画部門において、中期経営計画の策定、予算管理、プロジェクトマネジメント等に従事。関連会社の統合、事業譲渡、合弁会社設立等、多岐にわたる企業戦略業務に携わり、豊富な実務経験を蓄積した。

## 個人について

家族との時間を大切にし、週末は息子のサッカー活動に積極的に参加している。また、浦和レッズの熱心なサポーターとして、週末のテレビ観戦を楽しみとしている。




【ニュース解説】国交省・空き家対策モデル事業2026|建築業界が知るべき構造変化

空き家問題 2026年時点での理事の見解

空き家対策は「除却」から「活用」へ——建築業界に迫られる事業モデルの再設計

国交省が令和8年度の 空き家対策モデル事業 の募集を開始。民間・NPO・自治体が対象で、相談体制の整備からAI活用、ビジネスモデル構築まで幅広いテーマで支援します。

元記事:

令和8年度 空き家対策モデル事業の募集を開始
~先進的な空き家対策の取組を支援します!~

概要

視点 内容
何が起きたか(事実) 国交省が令和8年度「空き家対策モデル事業」の提案募集を開始(締切:5月20日)
本質(構造) 空き家対策の軸が「解体・除却」から「活用・相談・地域再編」へシフトし、官民NPO連携モデルの制度化が進んでいる
現場への影響(影響) 工事会社・職人も「初期相談・活用計画」段階から関与できる機会が広がり、施工前のフェーズでの役割が求められてきている
今後どうなるか(変化) 相続空き家の急増を見据え、予防的・多主体連携型の空き家マネジメントが全国標準になっていく

当NPOの理事がこのニュースを分かりやすく解説

本件により業界は何が変わるのか

「工事の前」が、事業になる時代へ

国土交通省が令和8年度の空き家対策モデル事業の募集を開始した。対象はソフト事業・ハード事業の両輪で、民間事業者やNPO、地方公共団体まで幅広く門戸が開かれている。

注目すべきは、これまで「解体・改修」に偏っていた支援スキームが、相談体制の整備や事業スキームの構築、調査・普及啓発といったソフト領域まで拡張された点だ。建築業界にとっての実務的な変化はここにある。工事受注の前段階、すなわち「診断・相談・活用提案」のフェーズが、制度的に評価・支援される対象になりつつある。


この動きの本質はどこにあるのか

空き家問題は「除却の問題」から「流通の問題」へ移行している

従来、空き家対策は老朽建築物の危険除去という文脈で語られることが多かった。しかし今回の募集テーマを見ると、新たなビジネスモデルの構築、ライフスタイルに対応した活用、AIやデジタル技術の活用、既成住宅地の再編まで踏み込んでいる。これは国が「空き家を 社会資源 として再定義する」フェーズに入ったことを示唆している。

建築業界の構造的な課題として、現場の技術・ノウハウが「工事段階」にしか価値化されていない点がある。劣化状況の見立て、改修の可否判断、コスト概算——こうした知見は現場経験の蓄積そのものだが、これまでビジネスとして成立しにくかった。今回の制度は、そこに事業性を付与する可能性を持っている。


建築業界は今後どこに向かうのか

「施工会社」から「空き家活用のパートナー」へ

相続空き家の急増は、今後10〜20年にわたって不可逆的に進む。所有者側の課題は、お金・感情・情報の三つに集約されるが、特に「何からすればいいか分からない」という情報ギャップが活用を阻んでいる現実がある。

この文脈において、現場を知る工事会社・専門業者の役割は本来、きわめて大きい。建物の状態を的確に評価し、活用シナリオに応じた改修の方向性を示せるのは、不動産業者でも行政でもなく、現場経験者だからだ。

ただし、そこに向かうには事業モデルの再設計が必要になる。初期相談や現地調査を無償で行う慣習を見直し、知見そのものに対価を設定する仕組みをどう構築するか。官民連携・多主体連携という今回のキーワードは、そのための制度的な足場になり得る。

空き家問題は地域課題である以上に、建築業界にとって次の主戦場になりつつある。その参入タイミングとして、今回の公募は一つの起点として見ておく価値があるだろう。

山口 剛 株式会社遠藤紙店

Author:山口剛

プロフィール

## 活動概要

山梨県出身。家業である壁紙卸売業を継承しながら、壁紙専門店「WALLPAPER STORE」のウェブ編集者として従事。幼少期より壁紙という素材に親しみ、成人後にその真の魅力を認識。「空間を一変させる壁紙の力」に感銘を受け、家業の発展とともにインテリア業界における新たな事業展開を開始した。

「WALLPAPER STORE」においては、壁紙の魅力をより広範囲の顧客層に訴求するため、ウェブサイトおよびSNSを通じた情報発信を担当。DIY愛好家のチームメンバー、ならびに施主の要望と生活様式に寄り添いながらインテリア空間を共創する「ウォールスタイリスト」と連携し、初心者にも取り組みやすいアイデアをブログおよび各種コンテンツを通じて提供している。

## 経歴

1983年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)卒業後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒入社。事業企画部門において、中期経営計画の策定、予算管理、プロジェクトマネジメント等に従事。関連会社の統合、事業譲渡、合弁会社設立等、多岐にわたる企業戦略業務に携わり、豊富な実務経験を蓄積した。

## 個人について

家族との時間を大切にし、週末は息子のサッカー活動に積極的に参加している。また、浦和レッズの熱心なサポーターとして、週末のテレビ観戦を楽しみとしている。




【ニュース解説】ナフサ不足と価格改定が示す、建築業界の構造的脆弱性

内装業界とナフサ、リスクをどう回避するか

中東ショックが露わにした建築業界の調達リスクと価格構造の限界

中東情勢の影響でナフサ由来のシンナーが品薄・高騰。塗装業界の55%がシンナー入手困難と回答し、業界団体が国交省に支援を要望。住宅建築やインフラ工事の遅延が現実味を帯びている。

元記事:

中東情勢が住宅建築にも影、シンナーや塗料が品薄・高騰…業界団体「政府発表と現場の供給網には大きな乖離」

取引価格改定に関するお知らせ ー サンゲツ

概要

何が起きたか(事実) 中東情勢の緊迫化を背景にナフサ由来のシンナーが品薄・高騰し、塗装業界団体が政府に支援要望書を提出。TOTOはユニットバスの新規受注を停止。

本質(構造) 政府は供給量自体は足りているとするが、流通中流域での出荷半減が現場の不足を引き起こしており、政府発表と現場実態の間に大きな乖離が生じている。

現場への影響(影響) 回答業者の55%がシンナー入手不可、8割以上が工期遅延を懸念。在庫余力のない中小塗装業者を中心に、5月中旬以降の工期延長・倒産リスクも浮上。

今後どうなるか(変化) 7月1日受注分から壁装材・床材・接着剤等が18〜30%値上げとなる見込みで、原材料高騰が続けばさらなる改定も。供給正常化の目途が立たなければ住宅・インフラ工事全体への波及が避けられない。

当NPOの理事がこのニュースを分かりやすく解説

■ 本件により業界は何が変わるのか

「当たり前」だった調達環境が、もう戻らない可能性がある

7月1日受注分から壁装材・床材・接着剤等が18〜30%値上げとなる。これ自体は「価格改定通知」として処理できる範囲だが、問題はその前提にある。

シンナーが「手に入らない」と答えた事業者が55%に上り、TOTOはユニットバスの新規受注を停止した。価格の問題ではなく、物が動かない状態が現場で起きている。在庫を持つ余裕のない中小塗装業者が先に詰まり、職人を抱える真っ当な会社ほど早く影響を受ける構造は、コロナ禍と同じ矛盾をはらんでいる。

■ この動きの本質はどこにあるのか

価格の硬直性と、備蓄義務の放棄が重なった帰結

1993年にナフサの備蓄義務が外され、調達リスクは業界の自己責任に委ねられた。その後、ナフサ起因の値上げは今回で三度・四度目と言われるが、構造は何も変わっていない。「政府発表と現場の供給網には大きな乖離がある」という業界団体の言葉は、制度設計の失敗を端的に示している。

もう一点、今回の値上げが「下代(業者間取引価格)」のみの改定であり、メーカー希望小売価格にあたる「上代」が据え置かれている点も見過ごせない。材料そのものの価値が上がっているにもかかわらず、表示価格が変わらないのであれば、物の価値が正しく市場に伝わらない。安値競争から脱却できないまま、コスト構造だけが悪化する。業界が長年抱えてきた価格決定プロセスの脆弱性が、今回のショックで一気に露呈した形だ。

■ 建築業界は今後どこに向かうのか

価格の流動性と、供給責任の再設計が問われる

原材料価格が動く以上、カタログ単価を固定し続ける流通構造には無理がある。ガソリンスタンドが日々価格を更新するように、建材においても価格決定のプロセスそのものを見直す議論が必要だ。デジタルカタログの導入といった表層的な対応ではなく、価格決定の仕組みを構造から変えることが求められる。

また、今後の課題は単に「値上げをどう説明するか」ではない。なぜ上がったのかを先様に丁寧に説明する責任は当然あるが、それと同時に、施工の技術や品質に見合った適正な価格水準を業界全体で合意形成していくタイミングでもある。コロナ・リーマンショック級の波が静かに来ている可能性がある今、短期の対応と中長期の構造改革を、同時に動かせるかが問われている。

山口 剛 株式会社遠藤紙店

Author:山口剛

プロフィール

## 活動概要

山梨県出身。家業である壁紙卸売業を継承しながら、壁紙専門店「WALLPAPER STORE」のウェブ編集者として従事。幼少期より壁紙という素材に親しみ、成人後にその真の魅力を認識。「空間を一変させる壁紙の力」に感銘を受け、家業の発展とともにインテリア業界における新たな事業展開を開始した。

「WALLPAPER STORE」においては、壁紙の魅力をより広範囲の顧客層に訴求するため、ウェブサイトおよびSNSを通じた情報発信を担当。DIY愛好家のチームメンバー、ならびに施主の要望と生活様式に寄り添いながらインテリア空間を共創する「ウォールスタイリスト」と連携し、初心者にも取り組みやすいアイデアをブログおよび各種コンテンツを通じて提供している。

## 経歴

1983年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)卒業後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒入社。事業企画部門において、中期経営計画の策定、予算管理、プロジェクトマネジメント等に従事。関連会社の統合、事業譲渡、合弁会社設立等、多岐にわたる企業戦略業務に携わり、豊富な実務経験を蓄積した。

## 個人について

家族との時間を大切にし、週末は息子のサッカー活動に積極的に参加している。また、浦和レッズの熱心なサポーターとして、週末のテレビ観戦を楽しみとしている。




【ニュース解説】RIZAP建設参入が問う、建築業界の構造転換

ライザップの業界参入について解説

RIZAP建設が外販参入——建築業界の構造問題に、異業種の論理が切り込む

RIZAPがchocoZAP1,020店舗出店で培った独自の建設スキームを外部企業向けに提供開始。コスト25〜30%削減・工期2倍速を武器に、建設業界の 人手不足 と多重下請け構造に切り込む。

元記事:

 ライザップ建設

 【RIZAP建設 始動】建設業に本格参入 1年で1,020店舗出店の「ギネス世界記録™」を支えた独自スキームを外販

概要

何が起きたか(事実) RIZAPグループがchocoZAPの大量出店ノウハウをもとに、RIZAP建設を通じた外販事業を本格始動。

本質(構造) 製造直輸入・職人内製・直接発注による「多重下請け排除モデル」で、業界の構造的コスト高に対抗。

現場への影響(影響) 既に半年で186件を受注しており、他業態の店舗開発コストと工期に対して実質的な価格圧力が生じている。

今後どうなるか(変化) 500人規模の リスキリング で建設人材を内製化し、業界の「2040年問題」に対応する人材プラットフォームへの転換を目指す。

当NPOの理事がこのニュースを分かりやすく解説

■ 本件により業界は何が変わるのか

「安い・早い」の可視化が、競争軸を塗り替える

RIZAP建設が打ち出した数字——コスト25〜30%削減、工期2倍速——は、業界内で長らく「交渉の余地」として曖昧に扱われてきた領域を、定量的に可視化したという点で重要だ。多重下請け構造によって生じていたコストの不透明さは、発注者側にとって比較基準すら持てない状況を生んでいた。今回の外販参入は、その基準点を市場に提示したことになる。

加えて、トレーナー500人のリスキリングという打ち手は、単なる人員活用ではない。目標設定・進捗管理・相手を動かすコミュニケーションを職業的に鍛えてきた人材が現場に入ることで、工程管理や職人間の調整といった「暗黙知で回ってきた領域」に変化が生じる可能性がある。

■ この動きの本質はどこにあるのか

異業種参入ではなく、「業界の構造読み替え」である

本件を「ジム会社が建設に参入」と読むのは表層だ。本質は、SPAモデル(企画〜施工〜運営の内製化)によって、従来の分業構造を再設計したことにある。

直取引・直雇用・直発注の三直構造は、中間マージンの排除というより、各工程の価値を自社内に取り込む垂直統合の試みだ。ここで冷静に問い直すべきは、「中間を省けば業界は健全になるか」という命題だ。実際の現場では、工程調整・品質管理・事故リスクの吸収といった目に見えにくい価値が、下請け各層に分散して存在している。それらをどう内製し、育成するかが、このモデルの持続性を左右する。

RIZAPが1,020店舗で積み上げたノウハウは本物だが、均質な店舗仕様を前提とした標準化と、多様な案件への対応力は別の話だ。適正品質の射程がどこまで広がるかは、今後の実績が答えを出す。

■ 建築業界は今後どこに向かうのか

「暗黙知の業界」から「説明できる業界」へ

この動きが業界に与える最大の影響は、コスト競争の激化よりも、業界のコミュニケーション文化の変容ではないかと見ている。

これまで建設・内装業は、職人の経験則と現場の勘どころ——いわば暗黙知——を核に成立してきた。それ自体に誇るべき価値はある。ただ、その構造が「説明しない文化」「価格の根拠を示さない文化」を温存してきた面も否定できない。

RIZAP的な人材が現場に入ることで、「なぜこの工程が必要か」「この費用の根拠は何か」を言語化・説明する文化が少しずつ醸成されれば、業界全体の信頼性向上につながり得る。それは既存の職人・事業者にとっての脅威であると同時に、次世代に誇れる産業へ進化するための契機でもある。

黒船は常に、内側から変われなかった業界を外から動かす。切磋琢磨の相手として、建設業界がこの動きをどう受け止めるか。その姿勢が、今後10年の産業の品格を決めると考えている。

山口 剛 株式会社遠藤紙店

Author:山口剛

プロフィール

## 活動概要

山梨県出身。家業である壁紙卸売業を継承しながら、壁紙専門店「WALLPAPER STORE」のウェブ編集者として従事。幼少期より壁紙という素材に親しみ、成人後にその真の魅力を認識。「空間を一変させる壁紙の力」に感銘を受け、家業の発展とともにインテリア業界における新たな事業展開を開始した。

「WALLPAPER STORE」においては、壁紙の魅力をより広範囲の顧客層に訴求するため、ウェブサイトおよびSNSを通じた情報発信を担当。DIY愛好家のチームメンバー、ならびに施主の要望と生活様式に寄り添いながらインテリア空間を共創する「ウォールスタイリスト」と連携し、初心者にも取り組みやすいアイデアをブログおよび各種コンテンツを通じて提供している。

## 経歴

1983年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)卒業後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒入社。事業企画部門において、中期経営計画の策定、予算管理、プロジェクトマネジメント等に従事。関連会社の統合、事業譲渡、合弁会社設立等、多岐にわたる企業戦略業務に携わり、豊富な実務経験を蓄積した。

## 個人について

家族との時間を大切にし、週末は息子のサッカー活動に積極的に参加している。また、浦和レッズの熱心なサポーターとして、週末のテレビ観戦を楽しみとしている。