【ニュース解説】 サンゲツFINE 2026-2029発刊——壁紙市場の訴求軸転換が示す業界の構造変化

サンゲツが見本帳Fineを刷新

サンゲツFINE新刊が問いかける——壁紙提案の競争軸はいま、価格から空間価値へ

記事紹介

サンゲツがデザイン特化型壁紙見本帳「FINE 2026-2029」を6月25日に発刊。収録771点・新商品318点を擁し、  不燃認定 比率を31%から47%へ拡大。非住宅需要への対応と空間価値訴求を強化した

元の記事

デザイン特化型の壁紙見本帳「2026-2029 FINE」を6/25に発刊

事実

サンゲツがFINE 2026-2029を6月25日発刊。771点収録・新商品318点、不燃認定比率を31%→47%に拡大

構造

「安さ」から「空間価値」へ訴求軸をシフト。ブランドコラボと不燃対応強化で住宅・非住宅双方の提案幅を拡大

影響

店舗・ホテル・福祉施設向けにデザイン性の高い不燃壁紙の提案機会が増加。設計・コーディネーター側の選択肢が広がる

変化

原材料・施工費高騰の中、価格競争から脱却し「素材の価値説明」が業界の競争軸として問われる局面へ移行

当NPOの理事がこのニュースを分かりやすく解説

サンゲツFINE 2026-2029発刊——壁紙市場の訴求軸転換が示す業界の構造変化

■ この動きの本質はどこにあるのか

「安さで選ばれる材料」からの脱却を迫られている

壁紙市場は長らく、原材料コストと施工効率の観点から「量産品をいかに安く納めるか」という競争軸で動いてきた。しかし昨今の原材料高騰・施工費上昇により、その構造が持続しにくくなっている。FINEのようなデザイン特化型見本帳の継続的な刷新は、サンゲツが壁紙を含む内装市場をアップデートする試みである。

空間価値の説明責任が施工側にも及ぶ

注目すべきは、この転換が製造・販売側だけの課題ではない点だ。施工会社やインテリアコーディネーターが「なぜこの壁紙を選ぶのか」を施主に説明できるかどうかが、受注の質と単価に直結するようになっている。材料選定の背景にある世界観や体験価値を言語化できる提案力が、業者の差別化要因として浮上している。

■ 建築業界は今後どこに向かうのか

非住宅×デザイン性の領域が次の主戦場になる

住宅における壁紙需要が成熟する一方、店舗・施設・オフィスといった非住宅領域では、空間ブランディングへの投資意欲が高まっている。不燃対応品のラインナップ拡充は、この需要に正面から応えるものであり、今後の内装提案の重心が非住宅側へシフトしていく可能性を示唆している。

材料の「価値説明」ができる業者が生き残る

価格競争が機能しにくくなる市場では、提案の質が競争力の源泉になる。壁紙一枚を通じて空間の印象・体験・ブランドをどう設計するかを語れる施工者・設計者が、単価と信頼の両面で優位に立つ時代が近づいている。FINEの刷新は、その問いを業界全体に投げかけている。

山口 剛 株式会社遠藤紙店

Author:山口剛

プロフィール

## 活動概要

山梨県出身。家業である壁紙卸売業を継承しながら、壁紙専門店「WALLPAPER STORE」のウェブ編集者として従事。幼少期より壁紙という素材に親しみ、成人後にその真の魅力を認識。「空間を一変させる壁紙の力」に感銘を受け、家業の発展とともにインテリア業界における新たな事業展開を開始した。

「WALLPAPER STORE」においては、壁紙の魅力をより広範囲の顧客層に訴求するため、ウェブサイトおよびSNSを通じた情報発信を担当。DIY愛好家のチームメンバー、ならびに施主の要望と生活様式に寄り添いながらインテリア空間を共創する「ウォールスタイリスト」と連携し、初心者にも取り組みやすいアイデアをブログおよび各種コンテンツを通じて提供している。

## 経歴

1983年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)卒業後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒入社。事業企画部門において、中期経営計画の策定、予算管理、プロジェクトマネジメント等に従事。関連会社の統合、事業譲渡、合弁会社設立等、多岐にわたる企業戦略業務に携わり、豊富な実務経験を蓄積した。

## 個人について

家族との時間を大切にし、週末は息子のサッカー活動に積極的に参加している。また、浦和レッズの熱心なサポーターとして、週末のテレビ観戦を楽しみとしている。




【ニュース解説】リリカラ社長交代——壁紙業界に訪れた「売り方の転換点」

リリカラの社長交代は業界再編の序章である

リリカラ社長交代が示すもの——壁紙業界に訪れた「売り方の転換点」

元記事はこちら:代表取締役の異動に関するお知らせ

サマリー

壁紙・インテリア大手のリリカラが、2026年3月27日付で代表交代。副社長の岡田卓哉氏(50歳)が新社長に就任し、山田俊之氏は特別顧問へ。フランフラン出身の異色の経歴が注目される。

要点

  • 何が起きたか(事実) リリカラは3月27日付で、岡田卓哉副社長(50歳)が代表取締役兼社長執行役員に就任し、山田俊之社長が退任した。
  • 本質(構造) 山田俊之氏は2006年から約20年にわたり社長を務めた創業家関係者であり、 l後任の岡田氏はフランフラン(旧バルス)出身のインテリア小売畑のキャリアを持つ外部登用型の人材で、世代・文化の双方で大きな転換を意味する。
  • 現場への影響(影響) リテール・デザイン感覚に強い新トップのもと、BtoCやDX・不動産連携などの成長領域への傾注が加速する可能性があり、従来のデザイン力・物流力に加え、ITやDXを活用した新顧客サービス創出と施工力強化という方針 が現場でより本格的に問われることになる。
  • 今後どうなるか(変化) 山田前社長は特別顧問として残る形 で急激な断絶は避けつつも、岡田体制のもとで小売・空間提案型のビジネス展開が加速するかが今後の焦点となる。

当NPOの理事がこのニュースを分かりやすく解説

リリカラ社長交代が示すもの——壁紙業界に訪れた「売り方の転換点」

業績回復と人事刷新が同時に起きた意味

25年12月期の経常利益が前期比4.6倍の7.2億円に急拡大し、26期も16.9%増の8.5億円を見込むという業績回復のタイミングで、リリカラは経営トップを交代した。新築着工数が落ち込み、壁紙の出荷数量自体も微減が続く中での回復は、主に価格改定によるものだ。数量で稼げない構造の中で利益を出せた——これはある意味、業界の限界と可能性の両方を同時に示している。

この人事の本質はどこにあるのか

「サプライチェーン内人事」からの脱却

壁紙・内装業界では、メーカーや株主など川上のサプライチェーン 内から役員・社長が輩出されるケースが多い。岡田卓哉氏の経歴はその文脈とは異なる。フランフランでの感情体験設計、TKPでの営業・組織運営、そしてリリカラでの副社長としての実績——いずれも「モノを売る」より「場と体験を設計する」側のキャリアだ。

壁紙は本来、暮らしの空間そのものを変える商材である。それにもかかわらず業界では長年、品番・性能・施工性・価格という「スペック軸」での競争が主流だった。岡田氏の就任は、その競争軸を「顧客体験 という軸」へと意図的にシフトさせようとする意思表示と読むのが自然だろう。「遠すぎず、近すぎない」距離感の人材が中枢に入ることで、既存のフレームワークに揺さぶりをかける——業界第2位としての役割は、そこにあると思っている。

建築・内装業界は今後どこに向かうのか

「物売り」から「ライフスタイル提案」への構造転換

ゼロックス(Xerox)がプリンター会社からコンテンツカンパニーへ変わったように、壁紙業界も「壁紙を売る」から「壁紙を通じて何を届けるか」へのシフトが問われる局面に入った。この問いに正面から向き合う事業者がまだ少ない今、業界1位・2位のプレイヤーがその方向に動き出すことの影響は小さくない。

ただし、既存ビジネスの慣性は強い。施工網・流通構造・取引慣行——これらを抱えたまま体験価値軸に舵を切ることは容易ではなく、一筋縄ではいかないことも事実だ。それでも、今回の人事が「象徴」にとどまらず「実装」に至るかどうか。リリカラの次の一手を、業界全体が注目している。

山口 剛 株式会社遠藤紙店

Author:山口剛

プロフィール

## 活動概要

山梨県出身。家業である壁紙卸売業を継承しながら、壁紙専門店「WALLPAPER STORE」のウェブ編集者として従事。幼少期より壁紙という素材に親しみ、成人後にその真の魅力を認識。「空間を一変させる壁紙の力」に感銘を受け、家業の発展とともにインテリア業界における新たな事業展開を開始した。

「WALLPAPER STORE」においては、壁紙の魅力をより広範囲の顧客層に訴求するため、ウェブサイトおよびSNSを通じた情報発信を担当。DIY愛好家のチームメンバー、ならびに施主の要望と生活様式に寄り添いながらインテリア空間を共創する「ウォールスタイリスト」と連携し、初心者にも取り組みやすいアイデアをブログおよび各種コンテンツを通じて提供している。

## 経歴

1983年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)卒業後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒入社。事業企画部門において、中期経営計画の策定、予算管理、プロジェクトマネジメント等に従事。関連会社の統合、事業譲渡、合弁会社設立等、多岐にわたる企業戦略業務に携わり、豊富な実務経験を蓄積した。

## 個人について

家族との時間を大切にし、週末は息子のサッカー活動に積極的に参加している。また、浦和レッズの熱心なサポーターとして、週末のテレビ観戦を楽しみとしている。




【ニュース解説】壁紙AI識別アプリが示す業務効率化の限界——建築業界が次に問うべきこと

カベピタ登録者3万人へ

壁紙AI識別アプリ「かべぴた」3万人突破——業務効率化の先に建築業界が問うべき体験価値とは

元記事:【会員3万人突破】壁紙AI識別アプリ「かべぴた」ユーザー待望の「メーカー絞り込み機能」新搭載

サマリー

壁紙の品番をスマホで撮るだけで特定できるAIアプリ「かべぴた」が会員3万人を突破! 待望のメーカー絞り込み機能も追加され、現場の壁紙探しがさらに楽になる見込み。

要点

【事実】 壁紙AI識別アプリ「かべぴた」が会員3万人突破・新機能追加 

【本質】 職人の”壁紙品番探し”という長年のアナログ作業をAIで代替 

【影響】 数時間かかっていた品番確認が数秒に短縮され現場効率が激変 

【変化】 普及品に続きデザイン壁紙への対応拡張で、業界標準ツールになる可能性

当NPOの理事がこのニュースを分かりやすく解説

壁紙AI識別アプリ「かべぴた」3万人突破——業務効率化の先に何があるのか

■ AIによる業務効率化は何を変えたのか

数時間の作業が数秒になる、これは小さくない変化だ

壁紙の品番確認は、現場では地味ながら確実に時間を奪う作業だった。似たような柄が600種以上並ぶ量産クロスの中から該当品番を探し出す作業は、熟練者でも数時間かかるケースがある。「かべぴた」はその工程をスマホ撮影だけで数秒に圧縮する。精度も業界最高水準とされており、最上位候補の正解率約90%という数字は実務に耐えうる水準と見ていい。

廃番品への対応も見逃せない。データ未登録の品番でも近似品番を5件提示できる機能は、補修案件の多い現場では特に実用価値が高く、大幅に 業務効率化 が図れる可能性がある。

■ この動きの本質はどこにあるのか

「品番ガラパゴス」に最適化されたAIという構造

注目すべきは、このアプリが建築業界の特殊な商習慣にそのまま適合している点だ。壁紙業界は長年、品番・見本帳・在庫・補修という固定的な軸で競争が行われてきた。言わば「型にはめた選択肢の中で最適解を探す」ことが業務の中心だった。

今回の AI活用 は、そのガラパゴス的な構造の中に精度よく組み込まれたものであり、業界の外側から市場を変えようとするものではない。だからこそ、現場への受容性が高く、3万人超という登録者数につながったと解釈できる。

一方で、見積りから失注に至る確率が5〜7割に上るとも言われるこの業界において、品番確認の効率化だけで事業の収益構造が改善するわけではない。「探す時間を削減したその先」に、何を置くのかという問いはまだ答えが出ていない。

■ 建築業界は今後どこに向かうのか

効率化の次は「体験価値」への問い直しが来る

時間が圧縮されれば、次に問われるのは「その時間で何をするか」だ。AIが検索・照合を担う時代において、人が担うべき領域は提案・ストーリー・顧客体験 の設計へとシフトしていく。

デジタルカタログひとつとっても、現状はPDFをオンラインに置いただけの状態にとどまるメーカーが大半で、UIや情報設計の面では他業界と比較して大きく後れを取っている。消費者がデモグラフィックではなくサイコグラフィック(価値観・ライフスタイル)で選ぶ時代に、業界がどこまで対応できるかが今後の競争軸になるだろう。

「かべぴた」は効率化ツールとして優れた取り組みだ。ただし、これを「DX推進の成果」として完結させてしまうのは早計に思う。業務改善と顧客体験価値の向上は、別の問いとして立て続けに問い直されるべき段階に、業界は差し掛かっている。

山口 剛 株式会社遠藤紙店

Author:山口剛

プロフィール

## 活動概要

山梨県出身。家業である壁紙卸売業を継承しながら、壁紙専門店「WALLPAPER STORE」のウェブ編集者として従事。幼少期より壁紙という素材に親しみ、成人後にその真の魅力を認識。「空間を一変させる壁紙の力」に感銘を受け、家業の発展とともにインテリア業界における新たな事業展開を開始した。

「WALLPAPER STORE」においては、壁紙の魅力をより広範囲の顧客層に訴求するため、ウェブサイトおよびSNSを通じた情報発信を担当。DIY愛好家のチームメンバー、ならびに施主の要望と生活様式に寄り添いながらインテリア空間を共創する「ウォールスタイリスト」と連携し、初心者にも取り組みやすいアイデアをブログおよび各種コンテンツを通じて提供している。

## 経歴

1983年、山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)卒業後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒入社。事業企画部門において、中期経営計画の策定、予算管理、プロジェクトマネジメント等に従事。関連会社の統合、事業譲渡、合弁会社設立等、多岐にわたる企業戦略業務に携わり、豊富な実務経験を蓄積した。

## 個人について

家族との時間を大切にし、週末は息子のサッカー活動に積極的に参加している。また、浦和レッズの熱心なサポーターとして、週末のテレビ観戦を楽しみとしている。